木造執金剛神像(吽像)

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 この像は、高さ294cmの寄木内刳造りの巨像で、隆盛時の安楽寺をしのばせる。筋肉の描写などは見事で、写実的に躍動感あふれる姿につくられている。刀法は、慶派(運慶・湛慶 ・快慶)の流れをくみ、鎌倉期の作と推定される。県内でもこの時代の作風を伝える異彩を放つ優れた遺例である。
 金剛神像は金剛力士像とも二王様ともいわれ、山門の左右にあって、仏法の護持にあたるとされる。口をあけた阿像と口を閉じた吽像とが向かいあうのが通例であるが、現在山門は遺されてなく、口を閉じた吽像のみが本堂に安置されている。
 また、この吽像は金剛杵を失っている。そして別に、阿像のものとみられる右手の一部や、耳・目の一部が遺されている。